パズーの父親は何者?ラピュタを見たのに嘘つき扱いされた理由

『天空の城ラピュタ』のパズーの父親は、ラピュタを自分の目で見て写真に撮った冒険飛行家です。けれども誰にも信じてもらえず、嘘つき、詐欺師と扱われたまま亡くなりました。パズーがラピュタを目指すのは、その父の汚名をそそぐためです。

映画で父親のことが言葉で語られる場面はわずかで、名前も出てきません。それでも、パズーの家に飾られた1枚の写真が、物語を大きく動かします。

この記事では、パズーの父が何者で何を見たのか、「詐欺師」と言われたのはなぜか、写真が物語で果たした役割を整理します。父がいないパズーを支えた親方のことにも触れます。

パズーの父親は何者なのか

冒険飛行家です。飛行船で空を探検していた人です。あるとき「竜の巣」と呼ばれる巨大な嵐の雲の切れ間から、伝説の天空の城ラピュタを見つけました。そして、その一部を写真に収めています。

パズーは、この話をシータに自分で語ります。父は生涯で一度だけラピュタを見た、と。

項目作中と資料から分かること
仕事冒険飛行家
見たもの竜の巣の雲の切れ間から見えたラピュタ
残したものラピュタの写真、パズーが身につけるゴーグル
母すでに亡くなっている。写真の下に母の写真(遺影)が飾られている

パズーは12歳。両親はどちらも亡くなっていて、両親が残した家で一人暮らしをしています。鉱山で見習いの機械工として働きながら、家で自作の飛行機を組み立てている少年です。

その飛行機は、鳥のように羽ばたいて飛ぶ「オーニソプター」。パズーはこれでラピュタまで飛び、父の言っていたことが本当だったと証明するつもりでした。

形見のゴーグルは、パズーが旅に出るときも身につけていました。けれどもラピュタの中で、ムスカの撃った弾によって失われます。

なぜ父親は嘘つき・詐欺師扱いされたのか

ラピュタが、誰も見たことのない伝説の城だったからです。空に浮かぶ島があると言っても、証拠は写真1枚だけ。周りの人には、作り話か、写真を細工したもののように見えたのでしょう。

ラピュタが見つからないのには、理由があります。ラピュタは「竜の巣」という巨大な低気圧の渦に包まれていて、外から近づけないようになっているのです。この渦は、ラピュタを守るために人工的に作り出されたものだと設定されています。

パズーの父は、偶然この竜の巣の中に入り込み、ラピュタを見ました。ほかの誰も同じ場所にたどり着けない以上、父の話を確かめる方法はありません。

「嘘つき」と言われ続けた父の話が本当だったと分かるのは、物語の終盤。パズー自身が竜の巣を抜けて、ラピュタにたどり着いたときです。父が見たものは、作り話ではありませんでした。

映画では、パズーがラピュタのことを人に話したかどうかは描かれません。小説版の結末では、パズーはラピュタに行ったことを誰にも話さなかったと書かれています。父の汚名をそそぐという夢があったのに、小説版のパズーは最後にそれを口にしない道を選んだことになります。

父はどうして亡くなったのか

映画では、父が死んだいきさつは描かれません。

小説版(亀岡修『小説 天空の城ラピュタ』)には、もう少し詳しい話があります。父は、新しい飛行船を作るためのお金を出してくれる人を探しに出かけ、そのときに事故で亡くなったという設定です。父の死後、パズーは母と一緒にスラッグ渓谷へ移ってきたことも書かれています。

小説版は映画をもとにした別の作家の作品なので、映画の正式な設定とは分けて読む必要があります。それでも、父がラピュタを見たあともあきらめず、もう一度空へ出ようとしていた点は、仕事のかたわら自分で飛行機を組み立てるパズーの姿と重なります。

ラピュタの写真は物語で何をしたのか

パズーの家に飾られた写真は、物語の大事な場面を2つ動かしています。

1つ目は、シータの秘密です。シータは、パズーの家でラピュタの写真を見たことで、家に代々伝わってきた秘密の名前を思い出します。そして後で、自分の名字が「ラピュタ」であることをパズーに打ち明けます。写真が、2人の過去をつなぐきっかけになったのです。

2つ目は、パズーの決意です。父の写真があるからこそ、パズーは最初からラピュタの存在を疑っていません。飛行石の話を聞いたとき、パズーが迷わずラピュタ探しに乗り出すのは、父の見たものを信じてきたからだと読めます。

写真には「1868.7」という数字が印字されています。作品の中の暦での日付と見られ、映画で年代が分かる数少ない手がかりです。写真のすぐ下には、母の遺影も並んでいます。パズーにとってこの壁は、毎日目標を確かめる場所でもあります。

竜の巣で見えた父の飛行船は何だったのか

物語の終盤、パズーとシータの乗った凧が竜の巣に飲み込まれます。雷が直撃した直後、嵐の中にぼんやりとした飛行船が現れ、そこに乗っていたのは父の姿。父はパズーのほうに目をやっていました。

この場面にセリフはありません。父の飛行船が一瞬だけ見え、それに導かれるようにパズーはラピュタにたどり着きます。

あれが本物の幽霊なのか、パズーの見た幻なのかは、作中で説明されていません。僕は、どちらと読んでもかまわないと考えています。僕が注目したいのは、父が通った道を息子がたどり、同じ場所に着いたことです。父が見たラピュタに、今度は息子が自分の足で立つ。父の話が作り話でなかったことを、パズー自身の体で確かめる場面です。

父のいないパズーを支えた親方とは

パズーの親方は、スラッグ渓谷の鉱山で働くダッフィーです。坑内のボイラーやエレベーターを扱うベテランの機械工で、年は40歳前後とされています。

腕っぷしの強い人で、ドーラ一家が町に押しかけた場面では、ドーラの長男と力比べを繰り広げました。親方のおかみさんも、パズーを実の息子のようにかわいがっています。パズーが町を逃げ出すときには、シータを守るように言って送り出しました。

両親を亡くしたパズーにとって、親方の家は家族に近い場所です。父の夢を追う一方で、パズーには今の暮らしを支えてくれる大人がいた。僕は、この2つがそろっていたから、パズーは明るさを失わずにいられたのだと読んでいます。

まとめ

  • パズーの父親は冒険飛行家。竜の巣の雲の切れ間からラピュタを見つけ、写真に収めた
  • 誰にも信じてもらえず、詐欺師扱いされたまま亡くなった。パズーがラピュタを目指すのは、その汚名をそそぐため
  • 写真はシータが秘密の名前を思い出すきっかけになり、パズーが迷わずラピュタを探す理由にもなった
  • 竜の巣の中で父の飛行船が見え、パズーは父が通った道をたどってラピュタに着く
  • 小説版では、父は新しい飛行船のための資金を探しに出て事故で亡くなったとされている

パズーがラピュタで唱えた滅びの呪文の意味はラピュタのバルスはどういう意味?トルコ語で平和は本当かで、小説版に描かれたパズーとシータのその後は天空の城ラピュタの幻のエンディングは本当?公式は否定、続きは小説版にで整理しています。もう一人の「出てこない家族」が気になる人はドーラの夫は誰?天空の城ラピュタで出てこない理由を考えるへ。ジブリ作品の世界に触れられる三鷹の森ジブリ美術館のチケットがいつ発売されるかは、ジブリパークとジブリ美術館のチケット発売日の違い|何時に何月分?にまとめました。

参考

  • 天空の城ラピュタ 作品紹介(スタジオジブリ) — https://www.ghibli.jp/works/laputa/
  • 天空の城ラピュタ — Wikipedia(登場人物・竜の巣・小説版の記述) — https://ja.wikipedia.org/wiki/天空の城ラピュタ
  • 亀岡修『小説 天空の城ラピュタ』前篇・後篇(徳間書店 アニメージュ文庫)

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