天空の城ラピュタの幻のエンディングは本当?公式は否定、続きは小説版に

『天空の城ラピュタ』に、別のエンディングは存在しません。スタジオジブリが公式サイトで「そういうことは一切ありません」と否定しています。お蔵入りになった別の結末もありません。

それでも「幻のエンディング」の噂は、何十年も語り継がれています。理由がないわけではありません。公開後に、映画のその先を描いたものが2つ世に出ているからです。

この記事では、噂の中身、公式の否定、そして噂を生んだ小説版の後日談と1枚のイラストを、順に整理します。

「幻のエンディング」とはどういう噂なのか

語られ方はいくつかありますが、中心にあるのは「本編の後にもう一場面あった」という話です。

よく語られるのは、パズーがシータを故郷まで送り届ける場面です。映画では別れたところで終わる二人の道行きが、そのまま描かれていたと言われます。

もう一つ、テレビ放送のときだけ流れたという話もあります。昔の放送で見た覚えがある、という証言とともに広まってきました。

どちらも「公開された本編とは別の結末が実在する」という点では同じです。そして、どちらも事実ではありません。

テレビで見たという話の元は、金曜ロードショーの設定画だという見方があります。放送時間を調整するために、本編のあとで流されたものです。絵が続けて流れれば、映画の一部だったのか番組の付け足しだったのかは、後から思い出しにくいものです。

映画の結末は、ラピュタが崩れたあと、合流したドーラ一家と二人が別れ、帰途につくところで終わります。飛行石を持ったラピュタは、木の根に抱かれたまま空のさらに高いところへ上がっていきます。

スタジオジブリは何と言っているのか

公式サイトの「ジブリ日誌」で、はっきり否定しています。

2002年12月のジブリ日誌に、この噂への回答が載っています。別のエンディングがあるという噂が流れているようだが、そういうことは一切ない、という内容です。制作したスタジオ自身が、公式サイトで書いた否定です。

しかも、ただ否定するだけで終わっていません。同じ文章の中で、なぜそんな噂が生まれたのかにも触れています。挙げられているのが、映画の後日談が読める小説版と、公開後に宮崎駿監督が描いた後日談のイラストです。

ここが、この噂のややこしいところです。「別のエンディングの映像」は存在しない。でも「映画の続きを描いたもの」は確かに存在する。この2つが混ざって伝わると、映像として見た記憶に置き換わりやすくなります。

僕は、否定の言葉が強いのもそのためだと読んでいます。「一切ない」と言い切らなければ、続きが実在するという部分だけが残ってしまう。作った側が公式サイトで書いている以上、映像としての別の結末については、ここで決着がついています。

噂を生んだ小説版には何が書かれているのか

1986年に前後編で出た『アニメージュ文庫 小説 天空の城ラピュタ』に、映画の先が書かれています。宮崎駿監督の原作をもとに、亀岡修が書いたものです。

内容は、映画のラストから半年後です。故郷のゴンドアに戻ったシータは、ヤクの世話をしながら暮らしています。そこへパズーから手紙が届きます。

手紙にあるのは、作中で作りかけだった鳥の形の飛行機、オーニソプターのこと。完成が近いこと、そして完成したら必ず飛んでいく、という約束が書かれています。ドーラ一家の消息も手紙に出てきます。鳥のようなくちばしを持った正体不明の飛行船が軍の給料を奪った、という新聞記事の話です。

映画では別れたきりだった三者のその後が、短いながらはっきり書かれています。読んだ人の記憶に残るのも無理はありません。

映画が終わったところから、二人の距離は縮まっていないままです。会う約束があるだけで、再会そのものは書かれていません。それでも、別れて終わりではないと分かるだけで、結末の見え方はずいぶん変わります。

ただし小説版は、映画の脚本そのものではありません。映画が描かなかった先を、文章で足したものです。ここが「幻のエンディング」との決定的な違いです。

宮崎駿監督が描いた「その後」の絵とは

描かれているのは、パズーが自作の飛行機でシータを訪ねる場面です。映画の公開後に宮崎監督が描いたもので、ジブリ日誌によれば『スタジオジブリ作品関連資料集I』の65ページに収められています。小説版の手紙が現実になった姿、と言っていい絵です。映像ではなく1枚の絵ですが、監督本人が描いたものであることに変わりはありません。

小説版の後日談と、この絵。どちらも公式に出たものですが、映像ではありません。そこを飛ばして記憶に残れば、「ラピュタには続きの場面があった」という話になります。噂の出どころは、この2つで説明がつきます。

僕は、この噂が消えないのは、見た人の願いと重なっているからだと考えています。あの別れ方では、二人がもう会えないようにも見えます。だから「続きがあったはずだ」という記憶が、後から補われていくのでしょう。

結局、パズーとシータのその後はどうなるのか

映画の中では描かれません。公式に読めるその後は、小説版の手紙までです。

結婚したのか、一緒に暮らすようになったのか。小説版もそこまでは書いていません。書かれているのは、パズーが飛行機を完成させてシータに会いに行くと約束したところまでです。

スタジオジブリが後日談を映像にしたこともありません。ラピュタそのものについても、木の根に守られたまま空へ上がっていったところで説明は止まります。

はっきりさせておくと、次のようになります。

話実在するか
本編とは別のエンディング映像存在しない(スタジオジブリが否定)
テレビ放送だけで流れた結末存在しない
小説版の後日談(半年後の手紙)実在する(1986年・アニメージュ文庫)
宮崎駿監督が描いたシータを訪ねるイラスト実在する(スタジオジブリ作品関連資料集I)
二人が結婚したという公式の設定存在しない

作品が答えを出していない部分を、公式が後から埋めない。これは『天空の城ラピュタ』に限った話ではありません。耳をすませばの雫と聖司はその後結婚した?映画は約束で終わっているでも、同じ形の終わり方を扱いました。

まとめ

  • 『天空の城ラピュタ』に別のエンディングは存在しない。スタジオジブリが公式サイトのジブリ日誌で否定している
  • 噂の出どころとして公式が挙げているのは、小説版の後日談と、公開後に宮崎駿監督が描いたイラストの2つ
  • 小説版(1986年・アニメージュ文庫)には、ラストから半年後、ゴンドアのシータにパズーから手紙が届く場面がある
  • 資料集に載るイラストには、パズーがオーニソプターでシータを訪ねる姿が描かれている
  • 二人が結婚したかどうかは、映画にも小説版にも書かれていない

作品をめぐるもう一つの有名な話題は、ラピュタのバルスはどういう意味?トルコ語で平和は本当かで検証しました。

噂の元になった設定画のような資料を実物で見たい人には、原画や背景美術が並ぶ巡回展もあります。会期とチケットの買い方は金曜ロードショーとジブリ展 佐賀のチケットはいつから?土日祝は日時指定にまとめました。

参考

  • ジブリ日誌 2002年12月(スタジオジブリ。別のエンディングの噂への回答と、噂の出どころ) — https://www.ghibli.jp/storage/diary/000102/
  • 小説 天空の城ラピュタ 前編(徳間書店 アニメージュ文庫、1986年。宮崎駿 原作・亀岡修 著) — https://www.tokuma.jp/book/b503820.html
  • 天空の城ラピュタ 作品紹介(スタジオジブリ) — https://www.ghibli.jp/works/laputa/
  • ジブリが否定した都市伝説とは別? 『ラピュタ』公式が語るシータとパズーの「その後」(マグミクス。小説版の後日談の内容) — https://magmix.jp/post/259480

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