『風の谷のナウシカ』の続編は、作られていませんし、作る予定も発表されていません。宮崎駿監督は2013年に「僕はやっぱりやる気はない」と語りました。鈴木敏夫プロデューサーも、公開40周年の2024年に「その機は逃しましたね」と話しています。
映画は1984年の公開です。原作の漫画はその後10年連載が続き、映画の何倍もの物語があります。続きの材料はそろっているのに、なぜ映像にならないのか。
この記事では、宮崎監督と鈴木プロデューサーが続編を作らない理由をどう語ってきたのか、庵野秀明監督が撮るという話はどうなったのか、そして映画の続きに今どこで触れられるのかを整理します。
ナウシカの続編は作られる予定があるのか
ありません。2026年10月時点で、スタジオジブリから続編や漫画の後半を映像にする企画は発表されていません。
これまでの主な発言を、時期の順に並べると次のとおりです。
| 時期 | 誰が | 続編について言ったこと |
|---|---|---|
| 2013年4月 | 鈴木敏夫 | 3部作にする案を宮崎監督に出したら、怒られた |
| 2013年6月 | 宮崎駿 | 庵野監督がやればいい |
| 2013年 | 宮崎駿 | 自分は作る気がない。庵野監督がやりたいなら構わない |
| 2013年9月 | 宮崎駿 | 引退会見で、続編について「ありません」 |
| 2014年 | 庵野秀明 | 自分が作ることはないだろう |
| 2024年3月 | 鈴木敏夫 | 続編を作る時期はもう過ぎた |
2013年には一度、「庵野監督が作るなら」という形で扉が開きかけました。ただ、それから10年あまりで、話は閉じる方向に進んでいます。
宮崎駿はなぜ自分で続きを作らないのか
本人の言葉で一番はっきりしているのは、2013年のテレビ番組『王様のブランチ』でのインタビューです。
それはもう、止めたほうがいいと思ってます。僕はやっぱりやる気はない。
理由として、宮崎監督は漫画を読み返したときのことを話しています。庵野監督の話が出たので引っ張り出して読んでみたら、「よくこんなわけの分からないものを描いてると思って」。映画にするのがどれだけ大変か分かる、とも続けました。同じ年の9月の引退会見でも、続編について聞かれて「ありません」と一言で答えています。
漫画の『ナウシカ』は、映画とはまるで重さが違います。国どうしの戦争、腐海の成り立ち、人類の未来をめぐる最後の選択。映画はそのうち、全7巻の2巻の途中までを2時間にまとめたものです。残りを映像にするなら、1本の映画には収まりません。作り手自身が「わけの分からないもの」と言うほど入り組んだ話を、もう一度頭から作り直すことになります。
僕は、宮崎監督が続きを作らないのは「映画ではもう描き終えている」からだと考えています。1984年の映画は、未完の漫画の序盤を、監督自身が一つの結末まで持っていったものです。漫画の後半は、そのあと10年かけて漫画という形で描き切りました。映画と漫画の両方で、宮崎監督はもうこの物語を描き終えています。
映画と漫画で結末がどう違うのかは、ナウシカの原作漫画は映画とどう違う?で詳しく比べています。
庵野秀明が続編を撮るという話はどうなったのか
実現していません。2014年には、庵野監督自身が身を引いています。
話の出どころは、庵野監督の強い希望でした。鈴木プロデューサーは『文藝春秋』への寄稿で、こう書いています。
庵野に会うと、時々『ナウシカ』の続編を自分に撮らせてほしいと言われる。
庵野監督は『風の谷のナウシカ』の制作に若手として加わり、巨神兵の場面を任された人です。鈴木プロデューサーによると、庵野監督は『エヴァ』もナウシカの続きを自分なりに作っているのだ、と話していたといいます。
鈴木プロデューサーは、2013年4月のイベントで一つの案も明かしています。1984年の映画を1作目とする3部作にして、2作目を庵野監督が作り、3作目で宮崎監督がまとめるという案です。これを持ちかけたところ、「宮さんが怒っちゃって(笑)」。
ところが同じ2013年の6月、『風立ちぬ』の完成報告会見で、宮崎監督は「いいやいいや、庵野が『ナウシカ』やればいいんだ」と笑って話しました。自分はやらないが、庵野監督がやるなら止めない。これが2013年の宮崎監督の立場です。
それでも、話は企画として動きませんでした。翌2014年、庵野監督は「『ナウシカ』に関しては、ぼくがどうこういう事ではないので。ただ、ぼくがやることはないとは思いますね」と話しました。作品を生んだのは宮崎監督で、決めるのは自分ではない、という線の引き方です。
庵野監督と宮崎監督の関係は、風立ちぬの声はなぜ庵野秀明?でも触れています。
鈴木敏夫はなぜ「機は逃した」と言ったのか
2024年3月11日、映画の公開からちょうど40年の日に、鈴木プロデューサーは続編への期待の声に答えました。
続きをやるかどうかは、その機は逃しましたね
理由として挙げたのは、当時の徳間書店の社長、徳間康快さんの考え方です。ナウシカは大ヒットし、普通なら『パート2』を作ろうという話になる。けれど徳間さんはそれを言わなかった。常に新しいものを求めていたからだ、と鈴木プロデューサーは説明しています。
実際、ジブリはナウシカの翌年、1985年に設立されました。『天空の城ラピュタ』から先は、ヒット作でも続きは作らず、毎回ちがう作品へ進んできました。
鈴木プロデューサーの言う「機」とは、ヒットした直後の、続編を作るのがいちばん自然だった時期のことでしょう。そこで作らなかった以上、40年たった今から作る流れにはならない。続編が作られない理由は、宮崎監督の気持ちだけでなく、ジブリという会社の成り立ちにも根があります。
映画の続きはどこで見られるのか
映像の続編はなくても、続きの物語に触れる方法はあります。
一番の近道は、原作の漫画です。徳間書店の雑誌『アニメージュ』で1982年2月号から連載され、1994年3月号で完結しました。全7巻です。連載は途中で4回休み、12年がかりで描き上げられました。映画の続きにあたるのは、2巻の途中から最後まで。
もう一つが、新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』です。2019年12月に東京の新橋演舞場で初演され、漫画全7巻の物語を昼と夜の通し上演で描きました。ナウシカを演じたのは尾上菊之助さんです。2022年7月には歌舞伎座で、前半にあたる「上の巻」が再演されました。映画のその先を、役者が演じる形で観られる作品です。
2026年8月には、愛知県がジブリパークの第3期の構想として、ナウシカの世界を表した屋内施設を作る計画を発表しました。大村秀章知事は、これまでジブリに話を持ちかけても「一切ナウシカには触らせてもらえなかった」と話しています。発表の時点では、完成の時期は決まっていません。今のジブリパークのチケットの選び方は、ジブリパークのチケット7種類の違いにまとめています。
まとめ
- 『風の谷のナウシカ』の続編は作られておらず、予定も発表されていません
- 宮崎監督は2013年に「やる気はない」と語りました。漫画を読み返して「わけの分からないもの」と言うほど、映像にするのが大変な物語です
- 庵野監督は続編を撮りたいと言っていましたが、2014年に「ぼくがやることはない」と自ら引いています
- 鈴木プロデューサーは2024年、ヒットの直後に続編を作らなかったことを挙げて「その機は逃しましたね」と話しました
- 続きの物語は、原作の漫画全7巻と、2019年の新作歌舞伎で触れられます
ジブリ作品をスクリーンで観たい人は、ジブリは今映画館でやってる?で上映の予定を確かめられます。
参考
- 宮崎駿監督が『風の谷のナウシカ2』の作成にOK(ジブリのせかい・2013年) — https://ghibli.jpn.org/report/nausica2/
- 鈴木敏夫氏「庵野秀明にナウシカ2をやらせようとしたら、宮﨑駿が激怒して…」(ログミー・2013年のイベント) — https://logmi.jp/knowledge_culture/culture/18867
- 鈴木敏夫が「ナウシカ」続編への期待にも回答(ムービーウォーカー・2024年3月11日) — https://press.moviewalker.jp/news/article/1186637/
- 新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』上演決定(歌舞伎美人) — https://www.kabuki-bito.jp/news/5186
- 宮崎駿監督引退会見(マイナビニュース・2013年9月6日) — https://news.mynavi.jp/article/20130906-a313/


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