宮崎駿の読み方は?「宮崎」と「宮﨑」どちらが正しいのか

読みは「みやざき はやお」です。「宮崎駿」も「宮﨑駿」も同じ人を指します。別人でも、別名義でもありません。

違うのは「さき」の字だけ。右上が「大」なら「崎」、「立」なら「﨑」です。後者は「立つ崎」と呼ばれ、見比べないと気づかないほどの差でしかありません。

ややこしいのは、字として正しいのは「崎」なのに、スタジオジブリの公式サイトが使っているのは「宮﨑 駿」だという点です。字の正しさと、公式が使っている形が食い違っています。

どちらをどう読み、どちらを使えばいいのか。公式の表記と、字そのものの成り立ちを分けて整理します。

読み方は「みやざき はやお」で合っているのか

合っています。「駿」を「はやお」と読みます。

「駿」は一字で「しゅん」とも読み、足の速いすぐれた馬を表す字です。人名に使うときの読みは「はやお」のほかに「たかし」「とし」「はやし」があり、宮崎駿の場合は「はやお」。1941年1月5日、東京府東京市本郷区(今の東京都文京区)の生まれです。

「みやざき しゅん」と読まれることもあります。「駿」は一字で「しゅん」と読む字ですから、初めて見る人が迷うのも無理はありません。

海外での表記は Hayao Miyazaki です。名が先、姓が後の並びで、日本語の順とは逆になります。作品が海外の賞や映画祭で紹介されるときはこの形で、漢字の違いは問題になりません。アルファベットに直した時点で「崎」と「﨑」の区別は消えるからです。

「宮崎」と「宮﨑」はどちらが正しいのか

字として正しいのは「崎」のほうです。

「﨑」は俗字と呼ばれる字体で、正しい形として定められた「崎」から崩れて生まれたものです。「﨑」が古くからの字で、あとから「崎」ができた、という順番ではありません。

では「宮﨑駿」が間違いなのかというと、そうではありません。人名の漢字は、正字かどうかとは別に、本人や関係者がどの字を使っているかで決まる面があります。

姓の字が家によって違うのは、渡辺/渡邊/渡邉や、高橋/髙橋と同じことです。どれも読みは変わらず、指す相手も変わりません。書類の上で別人になることもありません。名刺や書類でこだわる人がいる一方、気にしない人もいます。どちらが正しいかではなく、その人がどう書いているかの問題だからです。

つまり「どちらが正しいか」という問いには、答えが2つあります。字の分類としては「崎」が正字。名前の表記としては、公式が使っている「宮﨑 駿」。矛盾しているようですが、別々の話が重なっているだけです。

公式はどちらの字を使っているのか

「宮﨑 駿」です。姓と名のあいだを一字分あけて書かれています。

スタジオジブリの公式サイトにある作品紹介のページでは、『君たちはどう生きるか』の「原作・脚本・監督」も、2001年公開の『千と千尋の神隠し』の監督表記も「宮﨑 駿」。古い作品のページもさかのぼって同じ字にそろえられています。

三鷹の森ジブリ美術館を運営する徳間記念アニメーション文化財団の役員名簿でも、理事として並ぶのは「宮﨑 駿」。肩書きは株式会社スタジオジブリ取締役名誉会長で、この美術館の初代館主でもありました。ちなみに理事長は息子の宮崎吾朗で、こちらは「崎」です。『コクリコ坂から』の紹介ページも企画・脚本が「宮﨑 駿」、監督が「宮崎吾朗」で、同じ扱いになっています。

字体を一つにそろえるのではなく、それぞれが使っている形をそのまま載せています。公式の場では「﨑」を使う、という方針がはっきり見えます。なお、この美術館の入館券の決まりはジブリ美術館のチケットは代理購入できる?名前と譲渡の決まりにまとめました。

いつから「宮﨑」が表に出るようになったのか

公の場で目立つようになったのは2021年からです。

中日新聞校閲部の記事によれば、公式の告知に「﨑」が現れ始めたのは2021年2月ごろ。『アーヤと魔女』の劇場公開に関する発表が端緒とみられます。それ以前は、作品のクレジットも本人名義の著書も、長く「宮崎駿」で通されていました。

決定的だったのが2023年の『君たちはどう生きるか』です。ポスターにもクレジットにも「宮﨑駿」が大きく出ました。ここから報道や記事でも「﨑」を見かける機会が増えます。世間が広く追いかけたのは、このときが初めてでした。

もっとも、本人が急に字を変えたわけではありません。1980年代から、雑誌に寄せた手書きの署名では「﨑」が使われていました。手書きでは早くから「﨑」だったわけです。

途中の時期には、両方が入り混じった場面もあります。1997年の『もののけ姫』は、ポスターと本編のクレジットが「宮崎」でした。一方、特報や予告編、テレビスポットでは「﨑」も使われています。2018年の短編『毛虫のボロ』のクレジットは「﨑」だったとされています。長いあいだ、どちらか一方に固まってはいなかったわけです。

切り替えた理由は、公には語られていません。ここは推測の域を出ないところです。僕は、自伝的な色の濃い作品を出す時期と重なったことに意味があるのかもしれない、と読んでいます。同じように作り手の意図が語られないまま受け取り方が分かれる例は、千と千尋の油屋は本当に遊郭?湯屋の描写と宮崎駿監督の言葉でも扱いました。

新聞やネットで「崎」が多いのはなぜか

字をそろえる決まりと、文字化けの事情があります。

新聞社には、使う漢字の字体をそろえる決まりがあります。同じ紙面に「崎」と「﨑」が混ざらないようにするための取り決めで、俗字は正字に直すのが基本です。髙山を高山、舩木を船木と書くのと同じ扱いになります。中日新聞の校閲部は2024年の時点で、社として「宮﨑駿」に統一する指示は出ていないと書いています。本人やスタジオジブリから要望があればそれに従う、という姿勢です。

ネット上の事情は少し違います。「﨑」は環境依存文字と呼ばれる字で、機種や設定によっては正しく表示されず、四角い記号に化けてしまいます。打ち込むときも、変換の候補にすぐ出るとは限りません。ネットの記事や検索の語で「宮崎駿」をよく見かけるのには、こうした事情もあります。どうしても「﨑」で書きたいときは、公式サイトの表記をそのまま写すのが確実です。

どちらの表記を見ても同じ人だと分かっていれば、読む側はそれで困りません。書く側で迷ったときは、作品や公式の発表に触れるなら「宮﨑 駿」、広く読まれる文章なら「宮崎駿」。どちらを選んでも、指している人は変わりません。

まとめ

  • 読みは「みやざき はやお」。「しゅん」と読まれることがありますが、正しくは「はやお」です
  • 「宮崎」と「宮﨑」は同じ人を指し、違うのは「さき」の字体だけです
  • 字の分類としては「崎」が正字で、「﨑」は「立つ崎」と呼ばれる俗字です
  • スタジオジブリの公式サイトと美術館の役員名簿は「宮﨑 駿」を使っています
  • 公の場で「﨑」が目立つのは2021年以降で、手書きのサインでは1980年代から使われていました

参考

  • 君たちはどう生きるか 作品紹介(スタジオジブリ) — https://www.ghibli.jp/works/kimitachi/
  • 三鷹の森ジブリ美術館について(公益財団法人徳間記念アニメーション文化財団。役員名簿) — https://www.ghibli-museum.jp/about/
  • 宮崎駿 — コトバンク(デジタル大辞泉ほか。読みと生年月日) — https://kotobank.jp/word/宮崎駿-1113442
  • 校閲記者がうだうだ考える「宮崎駿」と「宮﨑駿」(中日新聞校閲部・2024年。前編・後編) — https://note.com/kotoba_no_genba/n/neb613a0cefba
  • コクリコ坂から 作品紹介(スタジオジブリ。企画・脚本と監督の表記) — https://www.ghibli.jp/works/kokurikozaka/

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