ジブリのロゴはなぜトトロ?鈴木敏夫が「しかたなく」付けたいきさつ

スタジオジブリのロゴがトトロなのは、日本テレビの奥田誠治さんに「なんでジブリにはトレードマークがないんですか」と言われたからです。鈴木敏夫プロデューサーは、それを受けて「しかたなく」トトロのマークを付け始めたと語っています。

社名を背負うロゴなら、会社を作ったときに考え抜いて決めたものだと思いがちです。ところがジブリは、初めのころ会社の名前を宣伝に出していませんでした。トトロのロゴは、ほかの会社の人の一言から始まっています。

この記事では、ロゴがトトロになった由来とそのいきさつ、いつから使われているのか、なぜ最初はジブリの名前を出さなかったのかを整理します。ふだんは青いロゴが赤くなった作品にも触れます。

ジブリのロゴはなぜトトロなのか

鈴木プロデューサーは、雑誌GOETHE(ゲーテ、2006年10月号)でいきさつをこう話しています。

日本テレビの奥田誠治さんが、”なんでジブリにはトレードマークがないんですか”と言うので、しかたなく『平成狸合戦ぽんぽこ』からおなじみのトトロのマークをポスターなどにつけ始めました。

目を引くのは「しかたなく」の一言です。ジブリの側から「会社の顔を作ろう」と動いたのではありません。外から言われて、手元にあったトトロを使った。それが始まりでした。

では、なぜほかのキャラクターではなくトトロだったのか。鈴木プロデューサーはこの発言の中で、選んだ理由を語っていません。言っているのは「おなじみのトトロのマーク」という言い方だけです。

僕は、この「おなじみの」に答えがあると考えています。マークとして使う前から、トトロはぬいぐるみやテレビ放送で広く知られていました。その人気を次の節で見ます。

トトロはそれほど人気だったのか

実は、映画館での『となりのトトロ』は大ヒットではありませんでした。1988年4月16日に『火垂るの墓』と2本立てで公開され、配給収入は約5.9億円、観客動員は約80万人。数字だけ見れば、のちのジブリ作品よりずっと小さな成績です。

人気を支えたのは、映画の外で売れたキャラクター商品でした。公開中から売られたぬいぐるみが売れ続け、トトロは映画を観ていない子どもにも知られる存在になります。1990年にテレビで放送されたときは、視聴者プレゼントのぬいぐるみに、日本テレビへ200万通の応募はがきが届きました。

時期トトロのできごと
1988年4月映画公開。成績は控えめ
公開中からぬいぐるみなどの商品で人気が広がる
1990年テレビ放送。プレゼントのぬいぐるみに200万通の応募

映画の成績より、映画の外で育った人気のほうが大きかった。「トレードマークを」と言われてトトロが選ばれたのは、この人気があったからだと考えると筋が通ります。日本テレビは、その200万通を受け取った当の会社でもあります。

ロゴはいつから使われているのか

鈴木プロデューサー本人が挙げているのは『平成狸合戦ぽんぽこ』(1994年)です。ただ、資料によっては別の作品が挙がります。

資料挙がっている作品中身
Wikipedia「となりのトトロ」『おもひでぽろぽろ』(1991年)以降シンボルマークとして使われている
鈴木プロデューサーの発言(GOETHE)『平成狸合戦ぽんぽこ』(1994年)からポスターなどに付け始めた
同じ発言『もののけ姫』(1997年)本格的に使い始めた

鈴木プロデューサーが話しているのは、ポスターなどの宣伝の場でマークを付け始めた時期です。どの場面で使ったかによって、挙がる作品がずれている可能性があります。

どちらにしても、トトロのマークはまずポスターに付き、『もののけ姫』で大きく前に出ました。数年かけて表に出てきたロゴです。

なぜ最初はジブリの名前を出さなかったのか

いまのジブリ作品の宣伝では、「スタジオジブリ最新作」の一言が当たり前のように付きます。ところが初期は違いました。GOETHEの記事によると、『天空の城ラピュタ』や『魔女の宅急便』の新聞広告には、ジブリの名前がまったく書かれていません。

宣伝の主役は、宮崎駿や高畑勲という監督の名前でした。会社の名前を知っていたのは、一部の熱心なファンくらいだったと考えられます。

鈴木プロデューサーは同じ記事で、名前を出し始めた順番をこう話しています。

『耳をすませば』でもジブリの名前を多少使いましたが、それは宮崎でも高畑でもない新しい近藤監督だったという理由です。そして本格的に使っていくのが『もののけ姫』。

『耳をすませば』の監督は近藤喜文さんです。宮崎駿でも高畑勲でもない監督の作品なので、「ジブリの作品です」と伝える意味がありました。

もう一つの理由は、宮崎監督の年齢です。『もののけ姫』のとき、宮崎監督は55歳になっていました。鈴木プロデューサーは、監督の名前に頼った宣伝はこの先難しくなると考えたと話しています。そこで決めたのが、会社の名前を売り出し、それに頼ることでした。

『もののけ姫』のころには、鈴木プロデューサー自身も初めてインタビューで「ジブリ」という名前を口にするようになったと振り返っています。理由は「スタジオジブリという名前がいつか役に立つだろうと思った」から。しかたなく付けたマークは、こうして会社の看板になりました。

ロゴが赤い作品はあるのか

あります。ふだんのジブリのロゴは、青い背景にトトロが描かれた形です。背景が赤くなった作品としてよく知られているのが、次の2本です。

作品公開背景の色
『巨神兵東京に現わる 劇場版』2012年朱色に近い赤
『レッドタートル ある島の物語』2016年ワインレッド

『レッドタートル』は、オランダ出身のマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督の作品です。鈴木プロデューサーは赤にした理由を、「『レッドタートル』だから、マイケルが赤がいいって」と説明しています。題名に合わせた、監督の希望でした。

同じ赤でも、2本の色味は違います。ジブリはロゴの色を、作品に合わせて変えてよいものとして扱っているようです。

まとめ

  • ジブリのロゴがトトロなのは、日本テレビの奥田誠治さんに「なぜトレードマークがないのか」と言われ、鈴木敏夫プロデューサーが「しかたなく」付け始めたのがきっかけ
  • トトロが選ばれた理由は語られていないが、公開中から売れた商品やテレビ放送で人気が広がり、すでに「おなじみ」の顔になっていた
  • 鈴木プロデューサーによると、ポスターに付け始めたのは『平成狸合戦ぽんぽこ』(1994年)から、本格的に使うのは『もののけ姫』(1997年)から。Wikipediaには『おもひでぽろぽろ』(1991年)以降とする記述もある
  • 『巨神兵東京に現わる 劇場版』と『レッドタートル ある島の物語』では、ロゴの背景が赤い

ロゴのトトロとは別に、社名の「ジブリ」はサハラ砂漠の熱風から来ています。その意味と、もとになった飛行機の話はジブリはどういう意味?由来はサハラの熱風、本当は「ギブリ」で詳しく整理しています。トトロをめぐる怖い噂が気になる人はトトロの都市伝説は本当?サツキとメイ死亡説を公式と描写で検証へ。ジブリパークのどんどこ森(サツキとメイの家)に入れるチケットは、ジブリパークのチケット7種類の違い|プレミアムは必要?で比べています。

参考

  • 「ジブリはもう衰退期なんです」プロデューサー鈴木敏夫の真意とは(GOETHE) — https://goetheweb.jp/person/article/20230909-ghibli-24
  • となりのトトロ — Wikipedia(反響とシンボルマーク) — https://ja.wikipedia.org/wiki/となりのトトロ
  • スタジオジブリの作品一覧(スタジオジブリ) — https://www.ghibli.jp/works/

コメント

タイトルとURLをコピーしました