ジブリはどういう意味?由来はサハラの熱風、本当は「ギブリ」

「ジブリ」はサハラ砂漠に吹く熱風のことです。イタリア語で、第2次大戦中にイタリア軍の飛行機がこの名前を使っていました。飛行機好きの宮崎駿監督がそれを知っていて、スタジオの名前にしました。

公式サイトにそう書かれているので、由来そのものに謎はありません。ややこしいのは読み方のほうです。このイタリア語は本来「ギブリ」と読みます。「ジブリ」は、本来の発音とは違う読み方のまま定着した名前です。

この記事では、熱風という意味、名前の元になった飛行機、込められた意図、そして「ギブリ」が「ジブリ」になった経緯を順に整理します。

「ジブリ」はどういう意味なのか

サハラ砂漠に吹く熱風です。スタジオジブリ自身が公式サイトの「スタジオジブリの歴史」でそう説明しています。

ちなみに「ジブリ」とはサハラ砂漠に吹く熱風のことです。

北アフリカの砂漠から吹く、乾いた熱い風のことです。綴りは ghibli です。

名前としては、かなり強い言葉を選んでいます。そよ風でも追い風でもなく、砂を巻き上げて吹きつける熱い風です。

なぜ飛行機の名前から取ったのか

宮崎監督が飛行機に詳しかったからです。公式サイトは「飛行機マニアの宮崎がこのことを知っており」と書いています。

元になったのは、イタリアのカプロニ・ベルガマスキ社が作った Ca.309 という機体です。愛称が「ギブリ」で、意味はそのまま砂漠の風。1936年8月に初飛行した双発機で、軽い輸送から偵察、爆撃までこなす作りでした。1940年のイタリア参戦時には前線に配備され、運用が終わったのは1948年です。

カプロニという社名に覚えがある人もいるでしょう。『風立ちぬ』で主人公の夢に何度も現れる飛行機設計者、カプローニです。彼が興したカプロニ社の系列会社が、この Ca.309 を作りました。宮崎監督にとっては、ただの語感のいい単語ではなく、自分がずっと惹かれてきた飛行機の系譜にある名前だったわけです。

飛行機への傾倒は、作品そのものにも出ています。『天空の城ラピュタ』では、羽ばたく形の飛行装置フラップターを出しました。『紅の豚』の主人公は、戦間期のイタリアを飛ぶ飛行艇乗りです。『風立ちぬ』にいたっては、飛行機の設計者そのものを描いています。ポルコがなぜ豚の姿なのかは紅の豚のポルコはなぜ豚になった?呪いではなく自分でかけた魔法で扱いました。

砂漠の熱風という意味と、その名を付けられた飛行機。どちらも「速く、熱く、遠くまで動く」ものです。名前ひとつに趣味と決意が同居しているところが、僕はこの社名のおもしろさだと思っています。

名前にどんな意図が込められていたのか

公式サイトは、こう続けています。

「日本のアニメーション界に旋風を巻き起こそう」という意図があったと記憶しています。

熱風という意味を選んだ理由が、ここではっきりします。当時のアニメーションはテレビシリーズが中心でした。公式サイトも、継続して収入が得られるテレビシリーズを活動の中心に置くのが常識だった、と当時をふりかえっています。劇場用の長編を作り続けるスタジオは、ほとんどなかったわけです。そこへ吹き込む風でありたい、という構えでした。

公式サイトは自分たちのことを、原則として劇場用の長編アニメーション、それもオリジナル作品以外は作らないスタジオだと書いています。テレビシリーズで数を作るという当時の主流からは、はっきり外れたやり方です。

本当は「ギブリ」と読むのか

イタリア語としては「ギブリ」が正しい読み方です。スタジオジブリ自身も公式サイトのQ&Aで、本来は「ジブリ」ではなく「ギブリ」と発音するのが正しいと認めています。

この点は、名付けの段階で指摘されていました。話し合いの場で、高畑勲監督が「ジブリではなくギブリと読むのが正しいのでは」と指摘したと伝えられています。対して宮崎監督は、イタリア人の友人がジブリと言っている、と譲らなかったそうです。結果として「ジブリ」が通り、そのまま世界に知られる名前になりました。

高畑監督の呼び名をめぐる話は高畑勲はなぜパクさんと呼ばれる?名付け親と宮崎駿が語った由来にまとめています。呼び名をめぐるやり取りという点で、こちらの記事とも重なります。

おもしろいのは、ジブリ自身がこの読み間違いを隠していないことです。『ギブリーズ』という短編があります。2000年4月8日に日本テレビ系列で放送され、2002年には『ギブリーズ episode2』が『猫の恩返し』との2本立てで劇場公開されました。監督は百瀬義行。タイトルに使われているのは、本来の読み方のほうです。

今となっては、どちらが正しいかを争う話ではなくなりました。社名としての「ジブリ」は、40年あまりかけて固有名詞になりました。イタリア語の ghibli は「ギブリ」、日本のスタジオは「ジブリ」。そう分けて覚えておけば十分です。名前の由来を聞かれたときに困らないのは、むしろこの読みのずれのほうかもしれません。

スタジオジブリはいつ、なぜできたのか

1985年6月15日に設立されました。

きっかけは『風の谷のナウシカ』の成功でした。次の『天空の城ラピュタ』を作るために、ナウシカを手がけた出版社の徳間書店が中心となって設立された、と公式サイトは説明しています。つまり最初から、特定の作品を作るための場所として生まれています。

順番でいうと、『風の谷のナウシカ』はジブリ設立の前の作品です。ジブリ作品として数えられることが多いものの、作ったのはトップクラフトという別のスタジオでした。ジブリの名のもとに世に出た最初の長編は『天空の城ラピュタ』になります。

  • 1984年 『風の谷のナウシカ』公開(スタジオジブリ設立前)
  • 1985年 スタジオジブリ設立
  • 1986年 『天空の城ラピュタ』公開(8月2日。2026年に40周年)

熱風を名乗って始まったスタジオの最初の1本が、空を飛ぶ城の話でした。そう並べてみると、社名と作品がきれいにつながって見えます。『天空の城ラピュタ』の呪文についてはラピュタのバルスはどういう意味?トルコ語で平和は本当かにまとめました。

まとめ

  • 「ジブリ」はサハラ砂漠に吹く熱風を指すイタリア語。公式サイトがそう説明している
  • 名前の元は、イタリアのカプロニ・ベルガマスキ社が作った Ca.309 の愛称「ギブリ」。飛行機好きの宮崎駿監督が知っていた
  • 込められていたのは「日本のアニメーション界に旋風を巻き起こそう」という意図
  • イタリア語としては「ギブリ」が正しく、高畑勲監督も名付けの場で指摘したが、宮崎監督が押し通して「ジブリ」になった
  • スタジオジブリの設立は1985年。『風の谷のナウシカ』の成功を受け、『天空の城ラピュタ』を作るために徳間書店が中心となって作られた

ここで出てきた『天空の城ラピュタ』や『風の谷のナウシカ』を映画館で観たい人は、ジブリは今映画館でやってる?次の上映は10月23日からで今後の上映予定を確かめてください。

参考

  • スタジオジブリの歴史(スタジオジブリ。社名の由来と設立の経緯。綴りと本来の発音は同サイトの「よくある質問」 https://www.ghibli.jp/qa/ ) — https://www.ghibli.jp/history/
  • カプロニ Ca.309(Wikipedia。愛称「ギブリ」の意味と機体の来歴) — https://ja.wikipedia.org/wiki/カプロニ_Ca.309
  • ギブリーズ(Wikipedia。放送・公開の年と監督) — https://ja.wikipedia.org/wiki/ギブリーズ
  • 宮崎駿が高畑勲の忠告を無視!ジブリとしての初作品『ラピュタ』公開前にあった「大間違い」とは(マグミクス・2026年1月9日。読み方をめぐるやり取り) — https://magmix.jp/post/334027

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