ラピュタのロボット兵の総数は、公式には示されていません。作中には、要塞に運ばれた1体、庭を世話する園丁の1体、城の中に眠っていた多数の戦闘型が出てきます。正体は、天空の城ラピュタで働くために作られた、自分の判断で動くロボットです。
同じ姿に見えても、ロボット兵には戦う型と、庭を守る型がいます。要塞で暴れた1体と、シータたちを庭で迎えた1体は、役目がまったく違うのです。
この記事では、ロボット兵の正体、作中に出てくる数、2つの型の違いを整理します。『ルパン三世』に出てきた「ラムダ」との関係や、『風の谷のナウシカ』の巨神兵と同じなのかという疑問、ジブリ美術館の屋上に立つロボット兵についても紹介します。
ロボット兵の正体は何なのか
ロボット兵は、かつて空の上で栄えたラピュタの人々が作ったロボットです。人が乗って動かすのではなく、自分で判断して動きます。城の中にたくさん置かれ、王族の命令に従って働いていました。戦闘型は、城と王族を守る役目です。
大きさは身長344cm、体重238kgという設定です。人の倍近い背丈で、細い手足に丸い頭という姿をしています。資料によっては「天兵(てんぺい)」という呼び名も使われています。
体の材料は、金属とも粘土ともつかない、弾力のある焼き物のような素材とされています。今の科学では正体が分からず、体を柔らかく変形させられるという設定です。戦闘型は空を飛び、頭から強力な光線を放ちます。
作中のロボット兵が言葉を話す場面はありません。それでも、シータを抱きかかえる手つきから気持ちが伝わってきます。言葉を持たないのに、しぐさだけで優しさが分かる。ここがロボット兵の描き方のうまいところです。
作中にロボット兵は何体出てくるのか
作中で何体いるのか、公式に数字は出ていません。映画に出てくるのは、大きく分けて次の3つです。
| 登場する場所 | 数 | どんなロボット兵か |
|---|---|---|
| 軍の要塞 | 1体 | 空から落ちてきて、軍が保管していた戦闘型 |
| ラピュタの庭園 | 動く姿が描かれるのは1体。ほかに苔むして動かない体がいくつも | 庭と生き物を世話する園丁型 |
| ラピュタの城の中 | 多数 | ムスカが起動させた戦闘型 |
物語の最初に出てくるのは、要塞の1体です。このロボット兵は、ラピュタから落ちてきたときには動かなくなっていました。ラピュタが本当にあると知った政府が調べ始めたきっかけは、この1体です。
ラピュタに着くと、庭を歩く園丁のロボット兵が2人を迎えます。庭には、長い年月のあいだに苔や草に覆われ、動かなくなったロボット兵の体も横たわっていました。
最後に出てくるのが、城の各所にしまわれていた戦闘型のロボット兵です。ムスカが城を動かしたことで一斉に目を覚まし、軍の兵士たちを襲います。正確な数を数えられる描き方ではなく、「無数にいる」と受け取るのが自然です。
この戦闘型たちは、パズーとシータが「滅びの言葉」を唱えたことで動きを止め、崩れる城とともに海へ落ちていきました。園丁のロボット兵がその後どうなったかは、作中ではっきりとは描かれていません。
動く姿で数えられるのは、要塞の1体と園丁の1体の2体。そのほかは、苔に覆われた体と、城の中の数えきれない戦闘型です。
戦闘型と園丁型、種類はどう違うのか
見た目はよく似ていますが、色と体のつくり、そして役目が違います。
| 戦闘型 | 園丁型 | |
|---|---|---|
| 色 | 赤茶色 | 緑がかった色 |
| 役目 | 城と王族を守るために戦う | 庭の草花や生き物の世話をする |
| 作中での姿 | 要塞を火の海にし、軍の兵士や船を襲う | 鳥や小さな動物を守り、墓に花を手向ける |
設定では、戦闘と園丁のほかに看護などの役目を持つ型もあったとされ、体の細かな形と色で見分けがつくようになっていました。映画に出てくるのは、このうち戦闘型と園丁型の2つです。
2つの型で面白いのは、同じ体から、まったく違う姿が生まれているところです。戦闘型は、要塞の石の壁や鉄の扉を光線で焼き切る。園丁型は、人がいなくなった城で、誰に見せるでもなく庭を守り続ける。ラピュタの人々が、空からほかの国を支配する力と、庭を慈しむ心の両方を持っていたことが、2つの型から読み取れます。
要塞のロボット兵はなぜシータを守ったのか
シータがラピュタの王家の血を引く人だからです。シータの本当の名前はリュシータ・トエル・ウル・ラピュタ。王族の命令に従うロボット兵にとって、シータは守るべき主人でした。
要塞のロボット兵が目を覚ましたのは、シータが「守りの言葉」をつぶやいたときです。祖母に教わった、困ったときのおまじないの言葉。その言葉に反応して、動かなかったロボット兵がすぐに起き上がります。
目覚めたロボット兵は、シータに近づき、彼女を守るように動きました。行く手をふさぐ要塞の壁や扉を光線で溶かし、砲台を壊し、要塞を火の海に変えます。最後に、軍の大型の飛行船ゴリアテの砲撃を受けて壊れてしまいました。
僕は、この1体の戦いが、映画全体の問いを先に見せていると考えています。同じ力が、主人を守るためにも、人を襲うためにも使われるという問いです。ムスカがあとで同じロボット兵たちを兵士にけしかける場面と並べると、その違いがはっきりします。
ロボット兵はラムダや巨神兵と同じなのか
『ルパン三世』のラムダが元なのか
ほぼ同じ姿のロボットが、映画の6年前に同じ監督の手で描かれています。1980年10月6日に放送された『ルパン三世』の第155話「さらば愛しきルパンよ」に出てくる、装甲ロボット兵「ラムダ」です。
この回の脚本と演出を担当したのは宮崎駿監督で、「照樹務(てるき つとむ)」という別の名前でクレジットされています。自分が以前に描いたロボットを、宮崎監督が映画で再び登場させたことになります。
ただし、2つはまったく同じではありません。
- ラムダは軍の依頼で企業が作ったもので、基本的には人が乗り込んで操縦して動く
- ラピュタのロボット兵は無人で、自分の判断で動く
「ラピュタのロボット兵の名前はラムダ」と言われることがありますが、ラムダはルパン三世の回での名前です。映画の中でロボット兵に個別の名前は付いていません。
ラムダのデザインにも元があるとされています。1941年にアメリカのフライシャー・スタジオが作った短編アニメ『スーパーマン』の第2話「The Mechanical Monsters」に出てくる、銀行を襲うロボットです。
『ナウシカ』の巨神兵とは同じなのか
同じではありません。巨神兵は『風の谷のナウシカ』に出てくる、まったく別の存在です。
| ロボット兵 | 巨神兵 | |
|---|---|---|
| 作品 | 天空の城ラピュタ(1986年) | 風の谷のナウシカ(1984年) |
| 姿 | 細い手足に丸い頭 | 巨大な人の形 |
| どんな存在か | ラピュタの城で働き、王族を守る | 「火の七日間」で世界を焼き払ったと伝わる巨人 |
どちらも、昔の文明が残した強い力として描かれ、目覚めると大きな破壊をもたらします。そのため混同されやすいのですが、作品も設定もつながっていません。巨神兵が原作漫画でどんな存在として描かれているかは、ナウシカの原作漫画は映画とどう違う?で整理しています。
ジブリ美術館の屋上のロボット兵とは
東京都三鷹市の三鷹の森ジブリ美術館では、屋上庭園にロボット兵が立っています。公式サイトの案内では「約5メートルの立ち姿」で、「ジブリ美術館の守り神」と紹介されています。
作中の設定より大きく作られた像です。人が去ったあとも庭を守り続けた園丁のロボット兵と、「守り神」という美術館での役目は重なります。屋上庭園には、映画に出てくる「要石」も置かれています。
屋上は天候が悪いと閉鎖されることがあります。館内とは違う撮影の扱いも含めて、ジブリ美術館はなぜ撮影禁止?にまとめました。チケットが取りにくいときの考え方はジブリ美術館のチケットが取れない時の対策で扱っています。
まとめ
- 総数は公式に示されていない。作中には要塞の1体、庭の園丁の1体と動かなくなった体、城の中の多数の戦闘型が出てくる
- ロボット兵はラピュタの人々が作った、自分で動くロボット。身長344cm、体重238kgという設定
- 戦闘型は赤茶色で城と王族を守るために戦い、園丁型は緑がかった色で庭と生き物を世話する
- ほぼ同じ姿のロボットは、宮崎駿監督が手がけた『ルパン三世』第155話の「ラムダ」として先に登場している
- 『ナウシカ』の巨神兵とは別の存在。ジブリ美術館の屋上には約5メートルのロボット兵が立っている
ロボット兵が止まった「滅びの言葉」の意味はラピュタのバルスはどういう意味?で扱っています。
参考
- 天空の城ラピュタ 作品紹介(スタジオジブリ) — https://www.ghibli.jp/works/laputa/
- 天空の城ラピュタ — Wikipedia — https://ja.wikipedia.org/wiki/天空の城ラピュタ
- さらば愛しきルパンよ — Wikipedia — https://ja.wikipedia.org/wiki/さらば愛しきルパンよ
- 館内のご案内(三鷹の森ジブリ美術館) — https://www.ghibli-museum.jp/welcome/


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